前職の頃、北海道紋別市(オホーツク管内)の港町に、ふらりと通わせていただいたスナック「R」がありました。あたたかなママさんの人柄が滲む、居心地のよいお店。ただ一つ、壁に飾りが何もないことが、いつもどこか心に引っかかっておりました。退職を前に、これから作家として生きていく決意をお話ししたところ、「それなら」と一枚の絵をご依頼くださいました。こうして生まれたのが、この「フラミンゴハート」です。
ピンクの壁から ― フラミンゴが降りてきた
どんな絵にしようかと店内を見渡したとき、目に留まったのはやわらかなピンクの壁でした。その色を見つめているうちに、ふとフラミンゴの姿が心に浮かんできたのです。あとから思えば、ママさんが何より大切にされている言葉「愛(アイ・ラブ)」と、フラミンゴが古くから象徴してきた幸福・調和・心の安定とが、静かに響き合っていました。理屈ではなく、直感がまっすぐにこのモチーフを指し示してくれたように感じています。
ハートに込めた、愛のかたち
ママさんの「愛」という言葉から、自然とハートのかたちが浮かびました。ありきたりかもしれません。それでも、あのお店とあの方の想いを一つに束ねるには、これ以上ないかたちだと、描きながら深く納得したのです。飾り気のない、まっすぐな愛のしるしとして、画面の中心に据えました。
ターコイズブルーの薔薇と、六角形の調和
背景には、直感のままに降りてきたターコイズブルーの薔薇のハートをアクセントとして添えました。そしてその奥に敷いたのは、六角形が連なるハニカム模様です。六角形は調和と安定の象徴。ここから穏やかな波動が広がり、お店がいつまでも栄えていきますようにとの願いを、静かに込めています。
店奥に立てかけられて
お納めしたあと、この絵はお店の奥にそっと立てかけられ、空間にやさしい彩りとあたたかな雰囲気を添えてくれているとお聞きしました。ママさんにもたいへん喜んでいただけたと伺い、描かせていただいた身として、これ以上ない幸せを感じております。
ほっと息をつける、心の拠りどころに
お店を営むということは、楽しさばかりではなく、ときに厳しさも伴うものだと思います。そんな日々の中で、この一枚が、ふっと肩の力を抜いて息をつける――そんな心の拠りどころであってくれたなら、これほど嬉しいことはありません。北海道紋別市のスナック「R」。近くにお立ち寄りの際は、ぜひ一度、あたたかなママさんとこの絵に会いにいらしてみてください。
絵画作家 光日子(こひこ)